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FLPパビリオン

様々なニュースを読み解く、セールスパーソンのためのニュース解説。(週1回更新/全12回)
お客様のための有効な情報提供に役立つコンサルタントからのアドバイスをご紹介いたします。


運用管理の過去・現在・未来:内部統制の決め手は「情シス部門の地位向上」
(ITmediaエンタープライズ)

内部統制対応を考えた場合、全社的な情報システムの見直し(または構築)は避けては通れないでしょう。
しかし現代では、PC一台も全く動いていないというお客様はごくわずかで、こうした視点での提案のためには、利用中のシステムを見直さなければなりません。
利用中のシステムを入れ替えたり、利用法を変更したりする時は、お客様企業内でいろいろな問題が発生します。提案内容は当然のことながら、お客様のビジネスパートナーとして、情報システム部門の担当者や経営者と一緒にこれらの問題に取り組むことこそセールスパーソンの重要な仕事です。
今号でとりあげたニュースのメッセージから、これらの問題解決につながる視点とお客様に伝えるべきポイントを考えます。
事業部ごとに独立採算を確保し、経営管理を行っている企業は数多く存在します。そのため、情報システム部門も各事業部によって個別に構築され、個別に運用管理が行われているのが現状です。もちろん、会社全体を統括する情報システムはありますが、ニュースにあるような問題が発生する可能性が高くなります。
もちろん、本社にも情報システム部はある。しかし、その役割は、各事業部から上がってくる数字を入力する基幹システムを運用管理することだった。各事業部と本社のシステム同士はほとんど分断されているといえる状態だったのだ。
これらは現場任せの情報システムのため、事業部によって品質に大きなバラつきがあった。
このようなシステム管理を内部統制の観点から考えます。内部統制では、企業の内部における違法行為や不正、ミスやエラーなどを無くし、組織が健全で効率的に運用されるように各業務で所定の基準や手続きを定め、それに基づいて管理・監視・保証を行わなければなりません。しかし、情報システムがバラバラで現場任せでは到底、手に負えません。
中堅の機械部品メーカーである株式会社M工業でも、3年前からコンプライアンスに対応した全社統合の情報システム基盤の構築プロジェクトに着手。まもなくカットオーバーの日を迎えようとしている。
 このプロジェクトは、会社の組織再編を含めた大きな変革を伴うものだった。そのため、プロジェクト自体が頓挫するのではないかと危ぶまれた時期もあった。それを解決したのが、経営陣の"鶴の一声"であり、その裏には情報システム部の担当課長、田中さん(仮名)の活躍があった。
独立採算で行ってきた部門には、それぞれの都合があります。しかし、会社は部分最適で機能するよりも、組織として全体最適で機能したほうが、より一層効率的に目的を達成できるのです。しかし、ニュースにあるように、全社的な情報システムの構築、または改善提案を行って、経営者が投資判断に納得しても、実際に利用する現場から賛同を得られないことがよくあります。こうした問題を払拭するには、「情報システム部門の地位向上」が重要なポイントであり、それを「支援する経営者」の存在が不可欠です。
既存の情報システムを使い続けたいという強い要望だ。前述した"立派な"システムの中には、リプレースして償却の終わっていないものもある。導入や運用のコストはどうしてくれるんだ、という抗議もあった。
マーケティングの世界では、上記のような現象を「スイッチング・コスト」として捉えます。
「スイッチング・コスト」は、現在利用している製品・サービスが別の製品・サービスに変更になる際に利用者(消費者)が負担しなければならない総体的なコストのことで、「金銭的コスト」に「心理的コスト」や「手間コスト」などを組み合わせたものです。
ニュースにあるような既存の情報システムを利用したいという現場の要望は、つまり心理的コスト、手間コストが大きいということです。
OSやアプリケーションなど、システム関連の製品やサービスを乗り換えよう(スイッチング)と考えたら、操作を覚えなおす必要がある、ルールを考え直す必要がある、セットアップが面倒・・・などなど「スイッチング・コスト」が高い商品の代表といえるくらいですから仕方がありません。そして、「スイッチング・コスト」が高いということは、自社製品を利用してもらっている場合は、利点なのです。
既存システムを利用中のお客様にシステム提案をする際は、ニュースのストーリーを引用しつつ、内部統制対応を考えた場合のシステム構築には、情報システム部門の地位向上とそれを支援する経営者の存在が不可欠であることを伝えましょう。
そして、スイッチング・コストの視点で問題を予測し、新しいソリューションの導入によるメリットと同時に、システムを使いこなすまでのフォローの徹底や、サポート体制の充実を現場に説明する機会を設けるなど、予め「スイッチング・コスト」を下げるための対策を行います。

コンプライアンス
コンプライアンスは、法令遵守と訳され、企業活動を行う上で、法律や社会規範などに違反することなく、それを正しく守ることを指します。
語源は、英語のcomplyという動詞の名詞形です。Complyはwithを伴って「〜を遵守する」と言う意味になります。これは、単にコンプライアンスと単語を言っても、目的が無ければ何を遵守するのかが不明確である事をよく表しています。
コンプライアンスと言えば、あるときは法令遵守、あるときは企業倫理、また、あるときはリスク管理の一環として用いられます。使用するときは、その目的を明確にして話しを進めることが大切です。
独立採算制度
独立採算制度は、企業の細分化した組織を1つの独立した経営組織とみなして、その組織単位ごとに損益計算を行い、経営を管理する手法です。
京セラ・稲盛氏のアメーバ経営が、まさに独立採算制度を活用した経営手法です。アメーバ経営では、トップダウンとボトムアップを調和させながら、数字に強い組織を実現しています。事業活動を行う最小単位をアメーバと称し、1つのアメーバを複数に分けたり、逆に統合したりしながら経営環境に応じた、最適な組織を構成しています。
償却
減価償却の略称です。機械設備と同様に、通常、情報システムやIT機器は長期にわたって使用するので、そのモノが使える期間(使用可能年数)に応じて購入代金を費用として計上することが可能です。これを減価償却と言います。
税制では、収入を得るためにかかった費用は経費となり、課税の対象外とされます。企業のIT担当者は税金のことを知る機会が少ないので、新しいシステム屋ソフトウェア導入が、税制のメリットがある事を伝えることによって稟議を通しやすくなる場合もあります。
SOA
SOA(Service Oriented Architecture)の略称で、大規模なシステムをソフトウェアの集まりとして構築、又は再構築する設計手法です。
企業内では、様々な業務システムが運用されています。それぞれは異なった目的を実現するために開発されているので、そのインフラであるハード、OS、ミドルウェア、開発言語などは、バラバラになっていることが多いようです。SOAでは、それぞれのソフトウェアを標準化された手順によって呼び出すことで、あたかも連携した1つのシステムのように再構築します。

コンプライアンス 内部統制 SOA


森戸 裕一 (もりと・ゆういち)
ナレッジネットワーク株式会社 代表取締役
中小・中堅企業を対象にITを活用した経営手法、企業戦略などを提唱する、コンサルティング事業を展開。マイクロソフト社をはじめとするIT企業、自治体などが主催する中小・中堅企業向けIT化支援セミナーの講師も数多く担当し、“ITで元気になるヒント”の数々を提案し続けている。

【第6回】サーバー機能選定のポイントを内部統制対応の視点で伝える
【第5回】社員と社内情報の関係性を明確に。それがルール決めのポイント
【第4回】内部統制に一押しの機能を提案する
【第3回】”社員の思考や行動様式を改善する”という視点でIT活用を提案する
【第2回】自動化のメリットを内部統制の観点から伝える
【第1回】企業と社員のインタラクティブ(双方向)コミュニケーション